信用組合といえば、相互扶助の理念を持った非営利目的の協働組合組織で、銀行とは異なり原則組合員に対してのみ預金・貸出・為替などの金融サービスを提供しています。
このような銀行や信用金庫との違いのほかにも、信用組合には独特な制度や特徴があることをご存知でしょうか?
本記事では、そのような信用組合独自の特色について詳しく解説していきます。
信用組合は、組合員が所属するコミュニティごとに異なる形態で設立される特徴があります。
最も有名な組合形態は、特定地域内の事業者や一般人を組合員とする地域信用組合。
令和4年3月末時点で102組合が存在します。
次に多いのが業域信用組合と呼ばれる組合形態で、令和4年3月末時点の組合数は27組合です。
業域信用組合は同業種の組合員で構成されていて、医師や証券業、出版製本、青果市場など幅広い業種で設立されています。
令和4年3月末時点で16組合と最も組合数が少ない職域信用組合は、同じ職場に勤務する人たちが組合員として所属しています。
官公庁や鉄道、新聞社などの職場で運営されている組合形態です。
信用組合は相互扶助を基本理念とする協働組織金融機関として、組合員一人ひとりの意見を尊重しなければいけません。
そのため、組合員が出資口数に関係なくひとり一票の議決権を持ち、組合員の総意で組合の意思決定を行う「総会」が信用組合の最高議決機関となります。
しかし、ほとんどの信用組合が多数の組合員数を抱えているため、実際に総会を開催することができません。
そこで組合員総数が法定数を超える場合、法令の定めにより総会に代わる「総代会」を設置することが認められています。
組合員の中から立候補や推薦を通じて選任された「総代」が総代会に出席して、集約した組合員の意見を踏まえて討議します。
総代会の主な決議事項は、信用組合の決算事項や定款変更、役員選任などです。
万が一信用組合が破綻した場合、預け入れたお金は預金保険機構によって一人当たり元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。
これは信用組合以外の金融機関の預金にも適用される特別措置です。
しかし信用組合には、破綻した場合の救済措置だけではなく、信用組合の中央金融機関である全国信用協同組合連合会(全信組連)が運営する破綻を未然に防ぐための3つの制度が存在します。
「モニタリング制度」「監査・指導制度」「資本増強支援制度」の3つの制度により信用組合の健全性を維持する制度。
このうち資本増強支援制度は、資本増強支援を希望する信用組合に対して、全信組連が審査の上支援を実行するとともに経営状態について管理及び指導をします。
信用組合が基金への積立を行い、合併などを行う信用組合に対して資金援助を行う制度。
基金残高は約1,000億円。
合併に際して、資本増強支援を実施した信用組合に対して、全国信用組合保障基金制度と合わせて資金援助を行う制度。
本記事では信用組合独自の特色として、信用組合の組織形態や最高議決機関、全信組連の3つの制度について解説しました。
他金融機関にはない信用組合の特徴を正しく理解して、自分に合った金融機関を選ぶための参考にしてください。