信用組合などの協同組合組織は、日本だけでなく世界中に数多く存在して、それぞれの地域やコミュニティを支えています。
本記事では、世界中の協同組合をサポートする国際組織や海外各国の信用組合について紹介していきます。
国際協同組合同盟は、1895年設立の協同組合の国際組織。
下記を含む目的を掲げて、情報発信や国際会議の開催、国際連合への提言などを推進しています。
国際協同組合同盟には、世界中の100以上の国々から信用組合だけでなく農業や漁業、林業など多種多様な組合が加盟、その数は300を超えています。
組織体制の面では、最高議決機関として2年に1回の頻度で開催される総会を設置。
総会には基本的に各会員組織から1名の代議員が参加して、役員・執行部体制や活動計画、予算等の協議および承認に加えて、各種講演や分科会講演等も運営しています。
また、国際協同組合同盟は欧州・米州・アジア太平洋・アフリカの計4地域組織で構成されていて、各地域に理事会と事務局を設置しています。
ドイツは信用組合の祖国であり、19世紀に農業者や手工業者によって設立した信用組合が始まりだとされています。
1851年に経済学者であるシュルツェ・デーリッチが初めての都市信用組合を設立。
その後1862年には、当時市長だったライフ・アイゼンが初めての農村信用組合を設立しました。
都市信用組合と農村信用組合には、設立目的や実際の活動内容に多少の違いはありましたが、主たる業務は共通して貯蓄業務と貸出業務でした。
現代でも信用組合は、都市銀行と貯蓄銀行に並ぶドイツの銀行システムの柱の一つとして重要な役割を果たしています。
イギリスの信用組合は、銀行へのアクセスが困難な人たちに基本的な金融サービスを提供することを設立目的としています。
イギリスでは1980年代に低所得者層が特定の居住地域に集中した一方、同時期に銀行の再編・統合が推進されたため、低所得地域から多くの銀行支店が撤退しました。
その結果、それらの地域の住民や事業者が基本的な金融サービスを享受できない「金融サービスからの疎外」が社会問題化していきます。
その問題を解決するために、国や地方公共団体が税制上の優遇や補助金による助成を通じて、信用組合の発展や役割の拡大を図っています。
アメリカの信用組合は、法律上、会員の倹約を奨励して生産的な目的のための与信を提供することを設立目的としています。
これまでは信用組合を設立・運営するために、会員間に特定の職業や地域、団体等の「共通の繋がり」が存在しなければいけませんでした。
しかし、1980年代に多くの信用組合の経営が悪化したことを受けて、監督当局は組合間の合併推進のために異なる複数の「共通の繋がり」で構成される組合間の合併を認めて、会員資格の緩和を進めています。
本記事では、協同組合の国際組織である国際協同組合同盟とドイツ・イギリス・アメリカの信用組合に関する情報を紹介しました。
それぞれの国の歴史や経済情勢によって信用組合の役割や組合員の資格など異なる点もありますが、基本理念として相互扶助があることは世界共通と言えるでしょう。