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過去に破綻した大手銀行の事例と万が一の事態に備えたリスク回避法

預金保険機構による破綻した金融機関への支援方法は資金援助方式と保険金支払い方式の2種類があります。混乱を回避する目的から資金援助方式が優先され、最短で破綻した翌営業日から払い戻しすることが可能です。

金融機関が破綻するとどうなる?

頭を抱えた男性
金融機関が破綻した場合、預貯金や手形などは、預金保険機構や日本銀行が主体となり国が保証してくれます。
個人などが利用する普通口座や定期口座などの一般口座は合算して元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護され、1,000万円を超える部分は破綻金融機関の財産の状況に応じて支払われる仕組みです。
一方で、事業者などが利用する当座口座や利息のつかない普通貯金などは全額保護されます。

 

 

1. 2つの救済措置

銀行などの金融機関が破綻した場合、預金保険機構によって救済措置がとられます。

 

その方法は2つのパターンがあり、1つは破綻した金融機関の事業を救済金融機関に引き継ぎ移管して、不足する部分などを預金保険機構が救済金融機関に資金援助する資金援助方式です。
もう1つのパターンは、預金保険機構が預金者に直接保険金を支払う保険金支払方式で、混乱を最小限に抑える目的から資金援助方式が優先されます。

 

1.1.支払いまでの時間

資金援助方式の場合、金融機関が破綻してからどのくらいの時間で預金額の出金ができるのでしょうか?
預金者データの整備状況等によって異なりますが速やかな対応ができる制度になっていて、仮に金融機関が金曜日に破綻した場合は最短で翌週の月曜日から払い戻しが可能です。
資金援助方式の場合は保険金支払方式より時間がかかりますが、混乱を避ける目的から保険金支払方式になるケースは少ないです。

 

2.過去の事例

日本における戦後最大級の金融機関破綻が、北海道拓殖銀行です。
1990年代のバブル崩壊で多額の負債を抱え、他の金融機関との合併など打開策を模索しましたが失敗に終わり、1997年11月に経営破綻しました。
当時は救済措置の制度が整備されていなかったこともあり、大きな混乱を招きました。
最終的には預金保険機構が1兆円を超える国債の償還請求などをして保護しています。

 

当時は速やかな保護ができずに混乱を招いていたこともあり、日本銀行が手形貸付にかかる特別措置をとるなど異例ずくめの対応でした。
北海道拓殖銀行の経営破綻を教訓に速やかな救済措置が整備されていますが、令和の時代でも金融機関が破綻したら相応の混乱を招く恐れがあります

 

3.損失を出すリスク

金融機関が破綻した場合、預金保険機構などによって保護されますが、1,000万円を超える一般預貯金などについては損失を出す恐れがあります
個人や事業者が損失を出すリスクが少なくなるように努められますが、破綻する金融機関の負債が大きすぎる場合は整理した財産と預金保険機構などの援助した資金が均等に振り分けられる仕組みです。
1,000万円を超えた部分を全て失う可能性は極めて低く、破綻してから先に手続きした人が優先されるのではなく、裁判所の手続きによって平等な比率で分割されます

 

金融機関は財務状況を開示することが義務づけられていて、財政難などの情報は事前に出回ります
預貯金は財務状況が良い金融機関に預けるのが無難で、必要に応じて資金を早めに移すことが重要です。

 

海外では2007年にアメリカの大手投資銀行のリーマンブラザーズが破綻して世界的な金融危機になった事例があります。
多額の損失を出しやすい特性から、投資銀行は混乱を招く大規模な破綻をするリスクが高いです。

 

4.支払い遅延のリスク

金融機関が破綻した場合はスピーディーな払い戻しが行われますが、負債の規模や破綻を発表する曜日・時間帯によっては預貯金などの払い戻しが一定期間できなくなってしまう恐れがあります。
落ち度がない理由でも支払い遅延をすると、その個人や事業者の信用に悪影響が出るので注意しましょう。
ビジネスの場合は事情を考慮してもらえる可能性もありますが、支払い遅延によって取引先にも迷惑がかかります。
借金の返済などを遅延した場合は信用情報に傷がついて、今後の融資に悪い影響が出る恐れがあるので注意しましょう。

 

近日中に国内の金融機関が破綻する可能性は極めて低いですが、絶対はありません。
万が一の事態に備えて利用する金融機関を分散させ、スピーディーに資金調達できるルートを確保するなどの方法で万が一のリスクに備えておくことが大切です。