信用組合は組合員間の相互扶助を基本理念として、地元地域やコミュニティの経済発展に貢献してきました。
一方で、少子高齢化や経済のグローバル化等による地方都市を中心とした人口や中小・零細企業の減少など、信用組合を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。
本記事では、国内の信用組合業界の現状をさまざまな視点から紹介していきます。
令和4年3月時点で145の信用組合が、組合員と地元地域・コミュニティの経済発展に貢献するために活動しています。
145組合のうち、地域内の事業者や一般人を組合員とする地域信用組合が102組合と最も高いシェアを占めています。
次に多いのが、同業種の組合員で構成される業域信用組合で27組合。
同じ職場の人たちが組合員として所属する職域信用組合の組合数が、最も少ない16組合です。
また、信用組合が運営している店舗数の合計は1,576店舗となっています。
平成15年3月時点の信用組合の店舗数は1,985店舗なので、この20年間で約300店舗が減少したことになります。
ここ最近は銀行の支店削減が話題になっていますが、信用組合も同じ状況にあるといえるでしょう。
令和4年3月時点で約393万人がそれぞれの地域やコミュニティの信用組合に所属しています。
なお、平成15年3月時点の組合員数は約343万人で、この20年間で約50万人増加していることがわかります。
令和4年3月時点で信用組合の預金積金残高は約23兆円、貸出金残高は約13兆円、預貸率は56.5%となっています。
ちなみに、平成15年3月時点の預金積金残高は約15兆円、貸出金残高は約9兆円、預貸率は61.7%。
この20年間で預金積立残高と貸出金残高はともに増加しているものの、預金積立金残高の増加ペースが早いため預貸率はやや下落しています。
また、信用組合の貸出先の約70%が貸出金額1,000万円未満、約91%が従業員10名以下の事業者と、貸出案件の大層が小規模事業者への小口貸出だとわかります。
データ引用:一般社団法人全国信用組合中央協会
信用組合の経営健全性を表す自己資本比率は、令和4年3月時点で11.3%と国内基準で要求されている4%を大きく上回っています。
同じく健全性を示す指標の1つである不良債権比率も、令和4年3月時点で2.9%と低位で推移しているため、信用組合業界全体の健全性は総じて良好な状態です。
信用組合はこれまで合併や統合を繰り返してきましたが、直近では2019年12月の「新栄信用組合」と「さくらの街信用組合」の合併、2023年12月予定の「はばたき信用組合」と「三條信用組合」の合併くらいと再編の動きはひと段落していると言えるでしょう。
本記事では、信用組合および組合員の規模や財務情報、再編・合併の動きに関する信用組合の現状を紹介しました。
人口減少や不安定な経済情勢など信用組合を取り巻く環境が厳しい中でも組合員数や預貸残高が増加傾向にあることは、現代における信用組合の必要性の証明になるのではないでしょうか。