信用組合に出資をして組合員になることで、相互扶助の観点からさまざまなサービスを受けることができます。
しかし、誰でも簡単に組合員になれるわけではありません。
本記事では、組合員になるための資格や加入手続きのおおまかな流れを解説したうえで、組合員の義務や権利、脱退時など詳細についても紹介していきます。
信用組合は、相互扶助の基本理念を持った金融機関として、特定の地域やコミュニティに対する経済的な支援を目的に活動しています。
相互扶助の対象となる組合員になるには、以下3点の資格基準を満たさなければいけません。
- 地区内に住所又は居所を有する者
- 地区内で勤労に従事する者
- 地区内で事業を行う小規模の事業者
なお小規模の事業者とは、下記の条件を満たす事業者を指します。
- 卸売業:従業員100人または資本金1億円以下
- 小売業:従業員50人または資本金5千万円以下
- サービス業:従業員100人または資本金5千万円以下
- 上記以外の業種:従業員300人以下または資本金3億円以下
引用元:全国信用組合中央協会
加入手続きに必要な書類や承認期間などの詳細は信用組合ごとに異なりますが、おおまかな流れは以下の通りです。
①加入申込書の提出→②信用組合からの承諾→③出資金の払込み→④信用組合への加入
ちなみに組合員が亡くなった場合は、3ヵ月以内に加入資格をもつ相続人が組合加入を申し出ることで相続開始時にさかのぼって組合員として認められ、組合員の義務と権利は被相続人の出資持分に応じて承継されます。
3ヵ月以内に上記手続が行われなければ、法定脱退の扱いで組合員から脱退したものとみなされます。
組合員は、出資義務と届出義務の2つの義務を履行しなければいけません。
まず出資義務では、組合員は出資一口以上を保有しなければならず、引受出資口数を限度として信用組合に対する組合員としての責任を負います。
なお、組合員一人が取得できる出資口数には、組合全体の出資総口数の10%以内という条件が設けられています。
次に届出義務では、組合員は以下の事項が発生した場合、所属する信用組合に速やかに届け出る必要があります。
組合員になると義務だけではなく、自益権と共益権という2つの権利を持つことができます。
自益権とは、組合員が経済的利益を直接享受するために単独で行使することができる権利です。
もう一つの共益権には、組合員が組合の業務に関与するために単独で行使できる単独組合員権と、一定数の組合員が共同して行使できる少数組合員権が存在します。
組合員を脱退したい場合、原則90日前までに脱退申請を提出することで、事業年度末日において脱退扱いとなります(自由脱退)。
ただし脱退申請後も、その事業年度末日までは組合員の権利・義務を保有しなければなりません。
また、組合員の資格喪失や死亡など法定脱退事由が発生した場合には、本人の意思にかかわらず組合員としての権利・義務を直ちに失います(法定脱退)。
本記事では、信用組合の組合員に関する基本情報と加入から脱退までの流れについて解説しました。
信用組合に加入したいと考えている人は、自分に組合員になる資格があるのかを含めて参考にしてみてください。