信用組合が銀行や信用金庫と比べてどのような違いがあるのか理解できたものの、実際に自分がどの金融機関を選べばいいのかイメージが湧かない人も少なくないのではないでしょうか?
しかしそれぞれの違いを深掘りしていくと、利用者にとって具体的にどのようなメリットやデメリットがあるのかが見えてきます。
本記事では、そんな信用組合を選ぶメリットとデメリットを3つずつ紹介していきます。
まずは銀行や信用金庫ではなく信用組合を選択することで得られる3つのメリットを見ていきましょう。
信用組合の組合員資格は、同じ同組合組織の組織形態をとっている信用金庫の会員資格に比べて敷居が低いため、規模の小さい事業者でも信用組合に加入することができます。
具体的には事業者に対する信用金庫の会員資格は「従業員300人以下または資本金9億円以下」ですが、信用組合の組合員資格は「従業員300人以下または資本金3億円以下(特定業種はさらに要件緩和あり)」と資本金の条件に大きな差がありますね。
信用組合は銀行や信用金庫に比べて地域密着性が特に高いため、気軽に融資相談をすることができて、融資審査も他金融機関に比べても通過しやすい傾向があります。
特に営利企業である銀行は、費用対効果などの観点から個人や中小企業に対する融資には消極的な場合が多く、融資審査の基準も高いため融資を受けることが容易ではありません。
一方で信用組合は、対象地域やコミュニティにおける相互扶助の考え方から、事業規模や収益性を問わず個人や中小企業に対しても誠実に向き合って前向きな金融サポートを提供してくれます。
銀行は、融資先の経営状態が悪化すると貸出金額に対する貸倒引当金や与信費用を計上する必要があります。
そのため営利企業である銀行は、事業者の経営見通しが悪いと判断した場合、融資依頼の謝絶や既存融資の途中返済を要求するなどの対応をとることもあります。
一方で信用組合は、短期的な利益追求ではなく相互補助の理念から組合員に対する長期的なサポートを目的としているため、銀行に比べて貸し渋りや貸しはがしを行う可能性は高くありません。
社会情勢や世界経済が不安定な昨今、持続的なサポートを受けられる信用組合を選ぶメリットは大きいと言えるでしょう。
次に他金融機関の代わりに信用組合を選ぶことで被る3つのデメリットを確認していきます。
信用組合は銀行に比べて小規模な組織のため、組合員に融資できる金額は比較的少額になってしまいます。
組合員の大半は中小企業のため融資規模が小さくても問題ない場合が多いですが、事業が成長して多額の融資が必要になった場合には、銀行との取引を検討する必要があるでしょう。
貸出金利は、銀行や信用金庫に比べて高い傾向にあります。
信用組合は非営利組織ですが、当然に従業員の人件費など事業を継続するための資金を確保しなければいけません。
しかし信用組合は融資規模が小さいため、必要な資金を用意するには貸出金利を上げる必要があるのです。
現在の信用組合は地域に根ざした運営をしているため、営業エリアが限定的でATMの設置台数も多くありません。
また銀行や信用金庫と比較するとネットバンクサービスなどのデジタル化対応にも遅れをとっているため、利用者によっては不便に感じるかもしれないでしょう。
本記事では、信用組合を利用するメリットとデメリットについて紹介しました。
メリットとデメリットは表裏一体であり、全てにおいて完璧なものは存在しません。
良し悪しを適切に把握して、自分のニーズに合った金融機関を選んでください。